Villa Potager
2018
ID: 000013136
ポタジェとは、野菜とともにハーブや果樹、草花を混植して食用と鑑賞も両立する手法の農菜園のことをいう。建主は地元熊谷を子育ての環境に選んでUターンし、「観光を通したまちづくり」の1つとして我々とともに“ポタジェ”から考える家を構想した。 広い敷地に対して南側に農菜園用の場所を確保し、建物は北側の川に沿って町並みを形成するように間口を広く計画。ポタジェのまとまりに呼応したスケールとリズムで4つの小(部)屋を配置し、それらの間に庭とつながる長く四方に展開する土間を打ち、夏の日射を避ける軒を出して差し掛け屋根を持つ屋根架構を掛ける。 暮らしのための時空間と農作業のためのそれを隔てるのではなく、農家住宅の田の字プランの十の字の部分に土間を流し込んだような図式を用いて、住と農が重なり合う中間領域を家の中央から東西南北に伸ばした。 この上土間(うわどま)と呼んでいる靴を脱ぐ長い土間は、建物の中心にありながら、6つの窓から入る拡散光が滲んで明るく、川が運んでくる風が取り込まれて高窓から抜けてく。農作業のまま上がったり、野菜を干したり、ポタジェと室内がつながる風景となる。 農作業の延長に獲れた野菜で食事をするだけでなく、ピザ窯を持ち込み内外でパーティーをしたり、近隣にできた友人たちが普段から自然と庭から入ってきて集まったり、またそうする事が当たり前になる日常が生まれた。それは私領域を開放的に作るのとは異なる、他者の存在への開放空間である。 光や風や土の香りが浸透する奥行きのある空間が、生業や地域と融合し、社会や環境、家族との新しい関係性を醸成していくと期待している。
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